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shake's COUNTRY LIFE
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事故の記憶~忘れないうちに
その日は河口湖の花火大会で5時以降、規制で車は湖畔に入れなくなるので、それまで
に河口湖に着かなければいけなかった。

5時前について、花火の時間まで青くんとプールに入りながらビールでも飲もうと、頑張って浮き袋を二つふくらます/夏ばての奥さんを家に残し、青くんを運転席の後ろのチャイルドシートに乗せ、買い物用のワゴンRで出発/家から500メートルぐらい行った狭い私道で、異常に遅い車に遭遇/よける気配もなく、ほとんど止まりそうな状態の車の後ろについて、しばらく我慢する/いつになってもよける気配がないので、クラクションを鳴らす/鳴らしても一向にどかないので、2度目のクラクション/それでもスローなままで怒りと共に、何度か長めに鳴らす。どういう理由か、1分後ぐらいにやっとよけたので、抜きつつ怒りを忘れるために青くんと冗談を言い合うその後すぐ県道に出た後、気分を変えてDOORSの1stをかける/"BREAK ON THROUGH"が始まる/短いイントロのあとジムモリソンが歌い始める/相変わらず邪悪な声だなと思う。/そのまま約10キロある樹海の道に入る/最初のカーブを曲がると約50メートル先に20センチぐらいセンターラインをはみ出した対向車を発見。

この曲がりくねった道ではみ出すことは良くあるので、すぐに戻るだろうと思う/でも対向車は何かふらついている印象を受ける/20メートルぐらいに迫ったとき、対向車は急にこっちの車めがけて向かい始める/あっという間に1メートル以上車線をはみ出してきて、意図的にねらわれているような恐怖感を感じる衝突を避けるために、道のすぐ外には木があることも忘れてハンドルを切る/何とか正衝突を避けたと思った時、バン!という衝撃を感じる/「アー、何だよー」と思う/そして車は回転/映画では何度も見たようなシーンが自分に本当に起こっているのを認識する/次には強烈な痛みを伴ったバーンが来ることを想像する/1回転半して次のバン/「おっ、以外と大丈夫」/痛みもなく生きていることにホッとする。

しかしすぐに青くんのことを思い出してドキッとする/車は確か俺の後ろに座っていた青くんの辺りにぶつかったはずだった/振り返った瞬間、青くんは泣き出す/明らかに驚きで泣いているのがわかり再びホッとする/ぐしゃぐしゃになり、エンジンも止まった車の中でまだジムモリソンはまだ"BREAK ON THROUGH"を歌っている/何がどうなっているのかわからなかったけど、ぞっとして、何とか冷静になってCDのスイッチを切るぶっ倒れているのはわかるけど、地面が自分のどっちにあるかもわからず、再び冷静に状況を判断する/地面に着いているのは右側で脱出するには上になった左側のドアしかない事を知る/普段とは違う不自然な重力の中でシートベルトをはずす/散らばったガラスの破片を踏みつけて左側のドアを上に向かって開ける/上に開けるドアは重たく、全開しないのでまた閉まろうとする。

青くんを車の外に出すためにはどうすればいいのかと思ったとき、大丈夫ですか?という声が聞こえる/後ろから来た車の人が来てくれたんだとわかりホッとする/「子供を出すのでドアを押さえてください」と言う/青くんを守ってくれたチャイルドシートのベルトをはずし、外に出す/自分が出た記憶はいっさい無く、気づいたらぶつけた女の人が目の前で謝っている

当て逃げされなかったことにまたホッとして「バカヤロー」を抑え「本当に怖かった」と言ったところ、相手は「ごめんなさい、ごめんなさい」と言ってかなり取り乱しているのがわかる/この人は非を認めているし、今この場でこれ以上この人をせめてもしょうがないと思う/去年自分がぶつけた経験から、相手に全責任があるのを確認し、電話を借り樹海の外まで走り、警察と保険会社に連絡すをとる/連絡を受けてやってき
た奥さん、道の真ん中でボコボコにぶっ倒れているワゴンRを見て呆然とし、泣き出す

居眠り運転

この長い道は信号もなく時間の感覚も無くなるし、自分もたまに、うとうとしそうになるので納得/やがて、普段車の少ない樹海の道も夏休というのもあって。初めて見る大渋滞/通る人みんながこっちを見ている/道の真ん中で横倒し、ボコボコのワゴンRの横、しゃがみ込んで顔を覆う女の人と、あきらかに不真面目そうなヒッピースタイルでパトカーを待つ俺/みんな俺がぶつけた方だと思ってるだろうなと思う

近所の知り合いも何人か通り、車の中の荷物を出したり、色々協力してくれる/同じく花火を見に行こうとして通りかかった茂(アナーキー・仲野茂)もびっくりして駆けつけてくれたけど、無事なので、そのまま花火に行ってもらう/やがてパトカーと救急車、何故か消防車まで来て簡単な体のチェックをして、青くんは憧れの救急車に乗って検査のため奥さんと病院へ/パトカーや警官を見てこんなにうれしかったことはなく、めずらしく警察の存在に感謝する

現場検証が終わり、レッカー車がワゴンR引きずっていくところを写真に撮る/大渋滞の樹海で横倒しのワゴンRの写真を撮らなかったことを後悔する/病院に行って青くんと再会/ただ生きていることがとても感動的に思える/その後数日は不思議な幸せ感に包まれて、もしかしたら人生のすべてを失っていたかも知れない青くんの笑顔を見るのは感動的だった。

なぜそこにたまたま居合わせたのか?そればかり考えた。相手の車がこっちの車線に入ってきてぶつかる可能性があったのは約10キロの樹海の道の中で、多分2秒間ぐらい。宇宙による何かの理由でぶつかり、そして必然的に無傷で助かったという気がしてならない。

正面部分に当たっていれば少なくとも俺は即死だったと思う。そしてたまたま俺の車に
当たらなければその人は多分、眠ったまま木にぶつかって死んでいたと思う。知り合いから何人か居眠りで木にぶつかって死んだ人の話を聞いたことがある。あとから聞いた話では俺がクラクションを鳴らしたらしい。相手の人は気づいてハンドルを切ったことによって、衝突のダメージも少なくなったうようだ。こっちも木に向かってハンドルを切ったので、もし相手の車がぶつかっていなければ、木に衝突して死んでいたと思う。奇跡的なタイミングで車は道の中央に転がったのだった。とにかくすべての痛みを背負ってくれたワゴンRに感謝。

次の日は岐阜でケネスと普通にライヴ/帰ると、お菓子や畑でとれた野菜をたくさん持って相手の人が謝りに来る/幸い無事だったし、たまたま同じ地区の人だったので、できれば顔を合わせたときに普通に挨拶できるように、この件を終わりにしたいので、車だけちゃんと返して欲しい事を告げる/相手も誠実に対応してくれて、2日後にはくたびれたワゴンRがめでたく新車同様のかわいいミラジーノになって帰ってくる/万歳。

それ以来、神様なのか、もしくは俺や青くんがダミアンで、悪魔の一族として守護霊の
モリソンなのか、とにかく「守られている」という何か根拠のない自信が湧いてきた。もしかしたら今回のことによって、俺の音楽がすごく良くなったり、青くんの未来にとても良いことが起こったりするんじゃないかと密かな期待をしている。
一体あの遅い車は何だったんだろう?

Shake
BIG LOVE
なつ
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by shake_countrylife | 2006-09-14 14:44 | 2006.7〜2010.2